「双葉製作所」の創業
フランスベッドの前身である「双葉製作所」は、1949 年(昭和 24)にフランスベッドの創業者である池田実が東京都三鷹市に設立。小さな町工場で、家具の製造から始まり、当時は主にスクーター 用のシートを製造していましたが、座り心地の追求と素材に工夫を重ね、いままでにないシートを開発。いくつかのパテントを取得し、事業を軌道にのせます。
フランスベッドの誕生
双葉製作所は1956年、ついに日本初の分割ベッドを発売します。
高度経済成長期に差しかかった当時の日本では、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の「三種の神器」の登場により、若い世代を中心に人々の生活様式が西洋風に向かいはじめていました。しかし寝具に関しては、「畳に布団」という伝統的なスタイルが根強く、「ベッド」という西洋的なスタイルは広く普及していませんでした。
「西洋文化に憧れる若者に、ベッドのある暮らしを届けたい」そう考えた創業者の池田実は、ベッドについて猛勉強。徹底的な市場調査を行い日本の狭い住宅事情に合わせ、「昼はソファ、夜はベッド」の折りたたみ式分割ベッドを考案。社内公募によりこの分割ベッドを「フランスベッド」と名付け、1956年に販売を開始します。
分割ベッド「フランスベッド」が発売された1956年当時、日本は海外渡航の自由化前で(※)、日本人にとってフランスはまさに夢の国。映画やファッションを通じて知るフランスはオシャレの代名詞であり、華やかなパリジェンヌの暮らしは若い女性の憧れの的でもありました。こんな時代背景の中、「若い心を夢心地にさせる」をコンセプトに、分割ベッド「フランスベッド」の大々的なプロモーションが行われ、「フランスベッド」の名前がテレビや活字から消費者の目に飛び込むようになり、「フランスベッド」は大ヒットとなります。
そして1961年に、この大ヒットした分割ベッドの商品名が社名として採用され、フランスベッド株式会社が誕生します。
※日本人の海外渡航自由化は、1964年4月1日のこと。この日に観光目的のパスポートの発行が開始され、1人年1回、海外持ち出し500ドルまでの制限付きで海外への観光旅行が可能となった。
フランスベッドに社名変更後、私達は幾度となく欧米に渡り、本場のベッド・マットレス造りを学び、研究をします。その中で、欧米人の体形、欧米の気候と、日本人の体形と日本の風土には大きな違いがあることに気付き、日本人のためのベッド・マットレス造りに取り組んでいきます。こうしてフランスベッドは、戦後まだ西洋の生活様式が浸透していなかった日本にベッドのある暮らしを提案し続け、日本全国に広めていきました。
1960年代には人々の生活水準が向上し、日本の住宅事情も大きく変化していきます。部屋数が増え個室化が進むことで、本格的にベッドの時代に突入。私達は1966年(昭和41年)にはベッド生産台数は100万台、1976年(昭和51年)150万台を達成します。
福祉用具レンタルの開始
1983年には新たな事業として、当時販売部門を担当していた子会社で、日本で初めての福祉用具レンタルを開始します。
きっかけとなったのは、療養ベッドを購入後、わずか3ヶ月でそのベッドが不要になったお客さまからの「母が亡くなったので、使っていた療養ベッドを引取ってもらえませんか?」というご相談でした。
「必要なものを必要な期間だけレンタルする」という、今では当たり前になった福祉用具レンタルを、介護保険制度が始まる17年前からスタートさせたのです。そして、介護保険制度の制定時には、福祉用具が介護保険の適用になるように厚生労働省に働きかけ、介護保険で福祉用具レンタルができる環境を整備。こう してフランスベッドは福祉用具レンタル事業でもパイオニアとなりました。
フランスベッド株式会社は今年で創業74年を迎え、福祉用具のレンタルを主にしたメディカル事業と、ベッド製造・卸売りを主にしたインテリア事業の2つを柱として、今日も事業をおこなっています。私たちはこれからも、みなさまのお悩みに寄り添いながら「豊かさとやさしさ」のある暮らしの実現に貢献していきたいと考えています。